師走の寒風がが身にしみるある日の昼下がり、家内は外出中で私一人の気安さからテレビの音量をいつもより上げドラマに没頭していた。
「うるさいな」突然の大声でびっくりして振り向くと県都に住んでいる息子があきれた顔をして立っていた。
　私は「何だ今頃」と少し気分が悪かったので声を荒げ聞き返した。　息子は、座りながら「ボ−ナスが出たんだよ」と言いながらゴソゴソ財布から紙幣を抜き取りながら今度はいつもの柔和な顔をしてコタツの上に置いた。
　そして、「お父さん補聴器を買えよ！お母さんが可哀相だよ」と云われ一瞬私にはおかしく聞こえた。難聴で不自由しているのは私なのに何でと思い「お母さんが何で可哀相なんだ？」と聞き返すと、息子の説明によると私との日常の会話にくたびれた、もう限界と涙を浮かべて愚痴ったらしい、さすがの私も愕然としてもう反対出来ないと思った。
「わかったよ買って見るよ」「この金は返すよそのくらいの金は心配いらないよ」息子は去年の秋、家を建て替え、金は1円でも欲しいはずだと思ったからだ。
当の経違があって購入することに決断、そこで２、３の店舗にあたって見たが納得できたのはデントさんだった。微に入り細にわたっての説明と対応が好感を持てたからだ。
　補聴器を装着して違和感がさほどないのにはビックリした、この感激は形容しがたい程だ。慣れるのに時間がかかると思ったが私は三日程で慣れてしまった。最初耳穴に装着するのに手こずったきらいはあったがすぐにコツがわかった。
今日で購入して二週間程だが話し声は勿論、外部のすべての雑音もたいした違和感もなくとらえられるように慣れてきた。
もっと早く購入していればと後悔の念でいっぱいだ。

　私は八十歳を越える老医ですが数年前より聞き取りが悪くなり不快感を感ずるようになり、電話、テレビ等の声が聞こえ難しくなってきました。
人との会話も聞き返すことが多くなってきましたので補聴器を使用してみようと思い最初は耳にあてる簡単な「ヘルプヒアリング」なるものを求めましたが余り良く聞こえずそれに器が大きいので日常使用に不便さを感じて居りました。
　或時友人の耳鼻科医に相談しましたところ当院ではワイデックスを推奨しているから使用してみてはと言いますので早速『ワイデックス』を購入しました。
使用してみるとなかなか良く聞こえますので今日まで引き続いて使っております。
　次に使用時に於ける日常感ずることに付いて少しお話してみます。
個人及び周囲の人との対談会話は勿論良く聞こえますし、電話、テレビ等の声も良く捉えることができるようになり最近は気持ちがスッキリするようになりました。
しかし話す相手の音声域、話し方、また周囲の音響の反応等によっては多少左右されます。
　最近は医学の進歩に伴って補聴器の改善もめざましいものがあるように思われますので難聴者にとっては幸せに思います。
現今は高齢者が多くなり難聴に悩む人達が増えておりますが躊躇なく補聴器を使用し悩みを解消したらよいと思います。
以上で私の補聴器使用の経過と諸感を述べさせていただきました。